難聴と認知症

「聞こえにくいと認知症になるのですか?」とよくご質問を頂きます。明確な回答は専門の医師がすべき領域なので、補聴器販売店では回答に困るケースも多いのです。

最近のアメリカでの研究によりますと、以下のことが判明したそうです。

まず、難聴を抱える高齢者は、聴力を維持している高齢者よりも徐々に認知症を発症する確率が大幅に高くなっています。フランク・R・リン医学博士の研究によると、難聴の程度が重くなればなるほど、認知症の発症率も高くなり、精神機能の低下もより急激となるそうです。また、軽度の難聴であっても認知障害を発症する確率は高くなります。この原因として、聴力の低下により脳内の灰白質の萎縮が進み、会話を理解する為に聞き取りにかなりの集中が必要になり、脳に余分な負担をかけていることが挙げられます。臨床結果によると難聴の方は毎年脳が1立方センチづつ失われ、会話や音を処理する領域の組織が大きく萎縮していきました。萎縮は大脳の中側頭回と下側頭回に影響し、脳の記憶や感覚間統合に大きな影響を与えます。

難聴は早期に発見し早く治療や補聴器使用を開始するほど、聞き取りが維持されやすい事実があるにも拘わらず、難聴を抱える方が診断されてなんらかの対策を行うまで平均で7年もかかっています。

つまり補聴器の使用は、聞こえの改善のみならず脳の萎縮や認知機能障害の予防につながる可能性があります。

脳を守る意味でも早期装用を考えてみてはいかがでしょうか。

 

聞こえにくいと転びやすくなるのか

以前、「聞こえにくいと転びやすくなるのでしょうか?」とお問い合わせをいただいたのですが、明確な回答が出来なくて困ったことがありました。

最近のアメリカでの臨床ケースを入手しましたので、情報として参考にしていただけたらと思います。

まず、良く知られている転倒の原因として、放置されている難聴があります。

難聴は複数の研究において転倒リスクの大幅な増加と関連づけられています。例えば軽度難聴の人は、健聴の人に比べ転倒した経験が3倍近く多く、難聴が10dB進むごとに転倒のリスクは1.4倍増加します。

転倒は怪我や入院に繋がります。アメリカでは65歳以上の3人に一人が毎年転倒しており、転倒によって致命的もしくは多くの怪我を負っているとのデータがあります。

では、なぜ難聴になると転倒のリスクが高くなるのでしょうか。以下の理由が考えられます。

・聞こえにくいと自分の全体的な環境を上手く認識できないため、つまずいたり転倒したりする可能性が高くなります。

・難聴になると認知負荷が高くなります。平衡や足取りを維持するため脳が支配され聞き取りや音情報を処理する為に緊張を強いられてしまう。

・蝸牛の障害に、平衡感覚を損なう前庭機能障害が含まれる場合がある。

 

以上のことから、転倒のリスクを減らす為にも難聴の方は補聴器の装用が望ましいと言えるのではないでしょうか。