高度・重度難聴の補聴器調整

一般的に高度・重度難聴の方の補聴器の調整は難しいと言われています。

それは、なぜでしょうか?

 

こんな原因が考えられます。

 

・高い利得を必要とするので、ハウリングが起こりやすい。

当然のことですが、利得を上げれば上げるほどハウリングは起こりやすくなります。特にハウリングが起こりやすい高音域の利得が上げられないことがあります。

・語音弁別能が低い場合が多い。

語音弁別能が低いと補聴器では効果が出ない場合もあります。

・ダイナミックレンジが狭い場合が多い。

利得を上げると響きやすく、また利得を下げると聞き取りにくい傾向にあります。

・周りが騒がしいと会話の聞き取りが困難になりやすい。

高度・重度難聴レベルになると、騒がしい場所での聞き取りが苦手になります。

 

以上のことを踏まえて、具体的にどのような調整が有効になるのでしょうか。

 

いろいろな視点はあるとは思いますが、以下の方法が有効ではないかと思います。

 

・両耳装用

片耳で補聴器を装用しているのなら、両耳での使用が好ましいです。

・リニア増幅

最近のデジタル補聴器は殆どがノンリニア増幅を採用していますが、リニア増幅の方が合う場合があります。

・ワイヤレス機器の活用

ワイヤレスで電話音声やテレビ音声を聞くことで効果がある場合があります。ワイヤレスマイクの活用も有効です。

・人工内耳

場合により人工内耳も選択肢の一つになります。

 

 

高度難聴で小型耳あな型補聴器を

先日高度難聴の方から、「耳あな型補聴器を使いたいが、小型の補聴器は使えますか?」とのご質問を頂きました。

基本的に高度難聴の方の場合、耳かけ型補聴器を使われるケースが多いのですが、見た目や装用感の問題で耳あな型補聴器を使いたい方も多くいらっしゃいます。

そこで、今回は高度難聴の方でも使える小型耳あな型補聴器について説明したいと思います。

まず、耳あな型補聴器のタイプは以下の通りです。

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一番小型はIICタイプになるのですが、軽度・中度難聴までとなります。

次にCICタイプですが、軽度~重度難聴まで使えます。但し、機種が限定されます。

当店取扱メーカーの場合ですと

ジーエヌリサウンド リサウンド・リンクス2シリーズとリサウンド・エンヤシリーズ

ウルトラパワーレシーバ使用で重度難聴まで ハイパワーレシーバ使用で高度難聴まで

となります。

また、CICタイプより若干大きくなるマイクロカナルタイプですと、

シーメンス・シグニア補聴器 インシオ px/bx/miシリーズ ハイパワーレシーバ使用で高度難聴まで

ニトロシリーズ 重度難聴まで

フォナック バートV SPレシーバ使用で高度難聴まで

となります。

カナル・フルシェルタイプですと、各種高度・重度難聴対応機種がありますので選択の幅が広くなります。

 

小型耳あな型補聴器は目立ちにくいのはいいのですが、小型化するために機能が限定されたり、ワイヤレス非対応になったり機能面では見劣りする部分もあります。

あくまで、何を優先するかで小型補聴器を選択するようにしてみてはいかがでしょうか。

 

 

フォナック新製品「ナイーダV」はここが凄い!

昨日店主は「フォナックワークショップ2016初夏」に参加してまいりました。そこでの情報を基に新製品の特徴をまとめてみたいと思います。

「ナイーダV」の説明の前に、フォナックの母体Sonovaグループの昨年の売上を発表します。

日本円で約2,300億円です。

この金額は昨年の世界の補聴器マーケットシェアで約30%になるそうで、断トツの世界第一位となります。

ちなみにメーカーベースの日本の補聴器市場の売上は約300億円と言われていますので、いかにこの数字が大きいかお分かりいただけると思います。

 

では、「ナイーダV」の凄い点を挙げたいと思います。

1.最新のベンチャーチップを採用

最新のベンチャーチップがナイーダシリーズにも採用されました。以下の特徴が挙げられます。

・両耳間音声通信による騒音下での聞こえが改善

・両耳間音声通信による音源定位の改善

・処理能力の改善により指向性機能が向上

・正確かつ再現性の実現

・サイズが最大で25%ダウン

・車の中での聞こえの改善

2.サウンドリカバー2の採用

高度・重度難聴で2000Hz以上がスケールアウト(聴力が残っていない状態)の場合に有効なサウンドリカバーが改善され、高音域の識別と音質を維持しながら、高域情報の聞き取りが改善されました。

ちなみに、サウンドリカバーの効果は以下の通りです。

・音の知覚、識別、認識が向上する

・高音域の音及び言葉の理解が向上する

・イントネーション及び全体的な発音が向上する

・ハウリングが減少する

3.広帯域ブースター

まず、広帯域ブースターは、全ての領域で補聴器の広帯域出力を最大で5dB増幅できる機能です。つまり、補聴器の出力を「あと、一息」出したい時に活用できます。

例えば、外耳道の大きさの問題で高出力のレシーバーが使えない時などに有効です。

4.RICタイプに新しいUPレシーバーが採用

以下の耳かけ型をご覧下さい。

ナイーダV

 

 

 

 

 

 

 

 

V-RICがRICタイプになります。UPレシーバーを使用すれば、平均聴力100dBまで対応出来ます。目立ちにくくパワフルな補聴器を望んでいた方には朗報です!

5.グラスファイバー素材を使った新ハウジングの採用

とにかく丈夫です!

英語版ですが、イメージ動画があります。

 

 

以上が店主が「凄い!」と思ったことです。

ナイーダVは高度・重度難聴の方にとっては最良の機種ではないかと思います。

 

 

 

リサウンド・エンツォはここが凄い!

昨日より新発売となりましたジーエヌリサウンドの高出力スマート補聴器「リサウンド・エンツォ」が早くも注目されています。

使用対象者が高度・重度難聴者に限定されてはいますが、以下の点で凄いと思います。

リサウンド・エンツォ

1.iOS端末(iPhoneなど)と直接繋がるので、電話が聞こえやすい。

高度・重度難聴の方にとっては電話は苦手なツールです。電話は対面での会話と異なり100%耳で行うコミュニケーションなので聴力が悪くなるほど苦手になります。また、補聴器を使用して電話を聞く場合に、マイクに上手く受話器を当てないと聞きにくかったり、Tモードに換えて聞かなくてはならないなど色々な不便があります。

リサウンド・エンツォはワイヤレスで直接iPhoneと繋がるのでワイヤレスヘッドホンで電話を聞くのと同じです。つまり、両耳で装用していれば、両耳で電話の音声を聞く事ができます。また、周囲の騒音にも邪魔されません。

また、テレビ電話(Facetimeなど)にすれば、相手の表情も分かりますのでより会話が分かりやすくなります。

もちろんiOS端末での音楽や動画もワイヤレスで楽しむことも出来ますのでスマホがiPhoneの方にはお勧めです。

(注意:聴力の内容や語音弁別能によっては電話が分からないケースもあります。)

2.電池寿命が長い

スマート補聴器の場合は殆どの機種が小型・軽量な為、使用する電池も小型タイプが多いのが現状です。ですから電池寿命に関しては短いケースが多かったのですが、リサウンド・エンツォはPR44/675タイプを使用しますので355時間の寿命となります。リサウンド・リンクスの場合はPR41/312タイプで135時間、PR48/13で240時間でしたので大きな電池で少しでも長時間使いたい方にはいいでしょう。

3.プレミアム保証で紛失・破損でも安心です。

万一の紛失や過失により破損の場合でも最初の1回に限られますが新品交換・修理対応が出来ます。リサウンド・エンツォ9は2年間、リサウンド・エンツォ7は1年間有効です。また、うっかり何処かに補聴器を置き忘れても、GPSを使ってその補聴器を捜す機能もスマホアプリ(ReSound Smart)に搭載されていますので、安心です。

上記のポイント以外にも、凄い点はありますが店主が個人的に凄いと思ったこと限定させていただきました。詳しくはジーエヌリサウンドサイトをご参照下さい。

聴力の目安と難聴

よくある質問ですが、「補聴器はどれくらいの聴力になったら使うのですか?」の質問をよくいただきます。

まず、難聴の程度と聴力ですが、WHO(世界保健機関)の分類で説明すると

・軽度難聴 平均聴力26~40デシベル 1Mの距離で話したが聞こえる

・中等度難聴 平均聴力41~60デシベル 1Mの距離で話した大きな声が聞こえる

・高度難聴 平均聴力61~80デシベル 耳に向かって張り上げた声のいくらかを聞くことが出来る

・重度難聴 平均聴力81デシベル以上 張り上げた声も聞こえない

が大まかな難聴と聴力の目安です。

一般的に若い方であれば、軽度難聴くらいから補聴器を使う方もいらっしゃいますが、高齢者の場合は聞こえなくてもなんとか済んでしまうことも多いので中等度難聴くらいから使う方が多いです。

もちろん聴力測定の結果と本人様が感じる困難の程度やつらさは必ずしも一致しません。しかし、補聴器の適合の基準は聴力ですので、まずは一度ご自身の聴力を知ってみることも大切だと思います。

 

手遅れになる前に

敬老の日が近づくに連れて、広告等で補聴器の宣伝を良く見かけると思います。

今日も新聞で通販の補聴器の広告を2件目にしました。

なんと1件は高度難聴用補聴器の通信販売です。既成の耳栓で自分で合わせる方法でなんと「ハウリングがしない」そうです。

通常の販売店であれば、高度難聴の耳かけ型を販売するにはイヤモールドを作成します。特に低価格の耳かけ型であれば、ハウリングのリスクは高いので、既成の耳栓で合わせることはありません。

おそらく宣伝文句を信じてこの高度難聴用補聴器を購入した方は恐らく後悔し、補聴器に対して悪い印象を持たれ、「補聴器なんかこんなもの・・」の悪い口コミを広げることでしょう。

インターネットや新聞広告などで「補聴器」に関するいろいろな情報が溢れています。全くの補聴器初心者であれば、一体何を信じたらいいのか悩むことと思います。

補聴器初心者に申し上げたいのは、「手遅れになる前に補聴器を使用して欲しい」ということです。

最近もこんなお問い合わせがありました。

1.普段は筆談でしか会話が出来ないが、補聴器を着けてテレビがよく聞こえるようにして欲しい。

2.認知症の方に補聴器を着けて普通に会話できるようにして欲しい。

上記のケースはいずれも「手遅れ」の状態です。なぜもう少し早い時期に相談いただけなかったのか後悔するケースです。補聴器はあくまで聴覚を補助する器械です。耳の代わりに言葉を理解する魔法の器械ではありません。ですから、理想を言えば「聞こえに不便を感じ出した時から早めに装用する」ことをお勧めします。