騒音性難聴とは
騒音性難聴(感音性難聴)は、内耳の有毛細胞が、強大な騒音によって損傷を受けることにより起こります。大きな爆音、工事現場あるいは大音量で流される音楽といった強大音は、耳を痛める原因にもなります。
また、非常に大きな騒音のある環境を継続的に経験したり、騒音が一定のレベルを超えると内耳の神経終末が損なわれていきます。騒音への反復的な暴露が繰り返されることで神経終末が修復できる範囲を越え、損傷を受けることがあり、難聴へつながります。一度損傷した有毛細胞は再生しないため、完全に元の聴力に戻ることは難しいとされています。
音の大きさは、デシベル(dB)で表現されますが、聴覚専門家の多くは、85デシベルを超える大きさの音に継続的に耳をさらすことによって、引き起こされる聞こえの問題を指摘しています。例えば、日常生活での、一般的な会話は60デシベルのレベルにあたります。芝刈り機の音は90デシベル程度、チェーン・ソーの作動音は100デシベル程度、大きなロック・コンサートでの音は115デシベル程度とされます。
最近の傾向としては、ヘッドホンやイヤホンで大きな音を聞き続けることによって起こるヘッドホン難聴(イヤホン難聴)が増えています。
ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)は、じわじわと進行し、少しずつ両方の耳の聞こえが悪くなっていくため、初期には難聴を自覚しにくいことが特徴です。他の症状として、耳閉感(耳が詰まった感じ)や耳鳴りを伴う場合があります。WHO(世界保健機関)では、11億人もの世界の若者たち(12~35歳)が、携帯型音楽プレーヤーやスマートフォンなどによる音響性難聴のリスクにさらされているとして警鐘を鳴らしています。
騒音性難聴(感音性難聴)の特徴
騒音性難聴は低音域~中音域までの聴力が保たれやすいが、4000Hz以上から徐々に低下する高音障害です。
ですので、母音は聞き取りやすく、子音が聞き取りにくい傾向にあります。特に摩擦音のS、H、F、K、Tなどは高い周波数は聞き取りにくくなりやすいので「サトウ」と「カトウ」のような言葉を聞き間違えることがあります。
騒音性難聴(感音性難聴)は補聴器で治せますか?
感音性難聴の場合、重度の場合は人工内耳を埋め込む手術が必要なるケースが多いですが、軽度から中度の場合は補聴器の使用が勧められるケースがほとんどです。
ひとりひとりの聞こえにあった音を調整できるので、補聴器は感音性難聴に非常に有効です。騒音性難聴は、補聴器で完全に治る病気ではありませんが、残っている聴力を最大限に活用し、生活の質を向上させることは可能です。騒音性難聴の場合、補聴器を使用することで、周囲の音を聞き取りやすくし、コミュニケーションの円滑化を図ることができます。
もし、日常生活で聞き取りにくさを感じたり、聞き間違いが増えているようなら、補聴器を検討することがいいと思います。