今年に入ってから、補聴器の遠隔調整が可能な補聴器が登場してきました。
しかしながら、正直現時点では発展途上の状態です。
また、正しく遠隔操作の機能やメリットが理解されていないケースもよくあります。
そこで、今回は補聴器の遠隔調整で一体何が出来て、何が出来ないのかを説明したいと思います。
まず、対象となる補聴器ですが、当店取り扱いメーカーの場合ですと、以下の通りになります。
・シーメンス・シグニア補聴器 シリオンからプライマックスまでが対象 テレケアにて遠隔調整
・リサウンド補聴器 リンクス3Dのみ 遠隔サポートにて調整
但し、テレケアに関しましては、メーカー自体が最近露出を減らしているようで、総合カタログにテレケアの記載はありません。既に日本市場では浸透しないと判断したのかもしれません。当店もテレケアは結局導入しませんでした。ですので、今回はリサウンド・リンクス3Dの遠隔サポートについてのみ述べたいと思います。
遠隔サポートのメリットはこんな方にあります。
1.とにかく忙しい方
いつでも好きな時に補聴器の調整が出来ます。
2.販売店が近くにない方
3.外出が困難な方
しかしながら、上記の対象者は出張訪問サービスで対応は出来ます。ですから、当店みたいに出張訪問を専門に行う店にとっては遠隔サポートはあまり出番がありません。
また、遠隔サポートの手順としては、
1.アプリ内マイサウンドの中の遠隔サポートのリクエストをクリックする。
2.自分で問題点を特定して販売店に調整をリクエストする。
3.販売店が補聴器の新しい設定を作成し返信する。
4.アプリから新しい設定をダウンロードし補聴器にインストールする。
となるのですが、
リクエストする前に
1.聴力の変動あり
2.補聴器自体の故障・耳あか詰まり
3.フィット感に違和感がある
に該当すれば、先に進めなく店での対応となります。
また、リクエストを送信しても店舗のパソコンがインターネットに繋がっていないとリクエストに気づかない場合もあり、返信に時間がかかる場合もあります。
また、使用に際に膨大な契約書類を確認する必要があり、この時点で短気な人でしたら、もういいわ!となりそうです。
恐らくそれらの問題もあり、先行して発表されたテレケアは定着しなかったかもしれません。
また、遠隔サポートの言葉自体が過剰な期待感を煽るためか、
遠隔操作で補聴器の異常も直せるのでは?
遠隔操作で全ての問題が解決するなら、もう店はいらないのでは?
自分で好きな調整を自分で作れるのでは?
などと非現実的な考えをお持ちになる方も出てきています。
6月1日にリンクス3D発売されてしばらく経ちましたが、まだまだ遠隔サポートについては様子見したいと思います。