難聴は、ご家族やご友人にも影響を与えます
人間の聴力は30代から少しずつ低下し始め、60代以上になると聴覚の老化はさらに進んでいきます。
加齢による聞こえにくさは、徐々に低下するので本人も気づかないまま対応が遅れてしまうことがあります。
「テレビの音が大きすぎるから、一緒にテレビは観ない!」
「声をかけても返事が無いので最低限の事しか話さない!」
「用件や約束事を聞き違えているから、迷惑だ!」
「同じ事を何度も言わなければならないので、面倒だ!」
など、聞こえの問題が人間関係まで影響を及ぼします。
また、誰でも自分の聞こえが衰えてきていることを素直には認めたくはありません。ですから、そのことを受け入れてもらうことはなかなか難しいことがあります。
確かに、難聴は徐々に進行することが多いため、日常生活に大きな影響が出るまで対処しない選択をする人もいます。
ですが、難聴は放置すればするほど対処が難しくなります。
さらに悪いことに、難聴は、認知症、転倒、うつ病などのリスク増加につながっていきます。
もし、ご家族やご友人が難聴で悩んでいましたら、何か行動を起こすように励ましていただければ幸いです。
難聴の方とのコミュニケーションのポイント
難聴の方とのコミュニケーションの仕方は以下のポイントが重要です。
- 会話をする際には、出来るだけ静かな場所を選ぶ
- 相手の顔を見て話す
- ゆっくり・はっきりと話す
- 急に話題を変えない
- 何の話をするのか明確にする
- 相手の気が散っていないか気を配る
難聴と様々な病気の関係性
アメリカにおける近年の研究報告によりますと、難聴が高齢者に多く見られる健康状態と深い関係があると言われています。
その一端をご紹介します。
- 認知症
- 聴力の低下は、会話を理解するために聞き取りにかなり集中する必要があり、脳に余分な負担をかけます。これが難聴が認知症やアルツハイマーに繋がることになります。
- 転倒
- 聞こえにくい人は、自分の全体的な環境を上手く認識出来ないので、つまずいたり転倒したりするリスクが高くなります。
- 糖尿病
- 糖尿病に関連する病変により、内耳の神経や血管が損なわれ、次第に難聴になるリスクがあります。
- 脳心血管障害
- 心筋梗塞や脳卒中などの脳心血管障害は、血流が不十分になり、内耳に血管障害を起こします。
- がん治療
- 一部の抗がん剤や放射線治療には、聴覚的な毒性を発生させる場合があります。