軽度難聴の方の場合、日常生活においては補聴器無しでも支障が無いケースが多いので、補聴器の装用に対する危機感が少ないのが現状です。特定の場面においてのみ不自由を感じるので、中度難聴以上の方の場合に比べて難しいケースが多いのが特徴です。
先日も軽度難聴の方が初めて補聴器を試したのですが・・・
「騒がしい場所の10m離れた小声に困っているので、補聴器を使いたい。」
「自分の聞きたい会話だけ補聴器で大きく聞きたい。」
「自分の声は小さく聞こえて、相手の声だけはっきり大きく聞きたい。」
とのご要望でしたので、残念ながら補聴器の限界を説明させていただきました。
実際問題、健聴の方でも騒がしい場所の10m先の小声が分からない場合もありますし、補聴器は自分の聞きたい音や声だけを耳に伝える器械ではありません。
では、補聴器を使うのはぎりぎりまで我慢すればいいのでしょうか?
答えは「No」です。
先ず言えるのは、ある程度若くて難聴が軽度のうちから補聴器を使っていると、高齢になって難聴が進んでもよく聞き取れる傾向にあります。これは脳の働きに関係してきます。つまり、音を聞く脳の回路は、常に刺激を受けていないと段々働きが悪くなる現象があります。ですから、十分な音を入れて脳を刺激し続けることは重要です。
それでは、どのタイミングで補聴器を使い始めればいいのでしょうか?
以下の兆候が見られるようになったら、検討してみて下さい。
1 聞き返しが多くなる。
2 耳の後ろに手を当てる。
3 早口が聞き取りにくい。
4 呼びかけられても気付かない。
5 テレビ(特にドラマやバラエティ)の声が聞き取りにくい。
6 周りが騒がしいと聞き取りにくい。
7 複数での会話が聞き取りにくい。
8 今まで聞こえていた音が聞こえない。
チェックする際にはご自身の結果と家族からみた結果を比較してみて下さい。意外と家族からの指摘が多いかもしれません。
いずれにしても、補聴器が初めての方の場合は補聴器専門家のカウンセリングをしっかり受けて補聴器の使用を検討してみて下さい。